その112 理論と実践を重ねて、皮膚感覚を身につけよう!

昨日(4月21日)、勝間和代さんと竹川美奈子さんの講演会へ丸の内丸善へ行ってきました。

勝間和代のお金の学校〜サブプライムに負けない金融リテラシー」(日本経済新聞出版社)の刊行記念の講演です。

講演の構成は、
■この本を作った理由
サブプライム問題から学ぶこと
■実践への誘い
■金融リテラシーの身につけ方
■Chabo活動状況報告
■質疑応答
といった感じです。

では、簡単にまとめてみます。

■この本を作った理由

勝間さんも竹川さんも職業柄、金融を「空気」のように「当たり前のもの」として感じているのですが、同時に世間とのギャップも感じているそうです。そこで、この本を通して少しでも金融に親しみ、そして金融に対するリテラシーを身に着けて欲しいというのが刊行の目的とのことです。

金融の勉強は、英語の勉強に似ていると仰っていました。
ネイティブの話を聞き(金融の書籍等を読み)、わからない単語(用語)を調べ、文脈を理解し、そして自ら実践する。
これを繰り返すことにより、やがて皮膚感覚として、身につくものである。

☆理論を学ばずに実践しても身につかないし、理論を学んだだけで実践しないのも、また身につかない。


サブプライム問題から学ぶこと

サブプライム汚染米に似ていて、一度紛れ込んでしまうと、それを取り除くことが困難である。
サブプライム的なリスク(「危険」でなく「不確実性」)を今後市場からなくすことはできない。
そのことを前提として、「だから金融は怖い」「金融は悪いものである」と決めつけないこと。
金融がないと世界の経済が回らないことを理解すべし。

したがって、過剰反応しないこと。
株価の場合、標準偏差で考えると、95%の確立で年間の上下幅は20%であり、昨年が残りの5%にはまってしまった。
しかし、毎月一定額を国内×国外×株式×債権への分散投資する方法では、ここ数十年のうち、どの10年を切り取ってもプラスになっている。

市場はクラッシュするものだということを理解して、そのうえで自らが許容できる最大損失額を決めておき、その額に達したら潔く損切りする。
しかし、逆に上昇局面もあるので、一喜一憂しない。

☆勝ち続けることはないということを理解し、負けの局面において過剰に反応しない。


■実践への誘い

商品の分散と時間の分散。
特に時間の分散は忘れがち。100万円あれば100×1ではなく、10×10で投資する。

投資用の資金の貯め方に王道はない。
目的に応じて口座を4つ(生活口座、貯蓄口座、プール口座、投資用口座)にわける。
このとき、決められた額が、自動(強制)的に貯蓄口座に回るような仕掛けが望ましい。
投資は余裕資金である投資用口座から行い、例え失敗しても、貯蓄口座は前年をキープするようにすれば、気持ちに余裕がでる。
つまり、1年間の損失額を予め決めておく必要がある。

そして、スタートは早いほうがよい。
複利の考え方だと、時間が長ければそれだけ利益が生まれる。

また、商品選びにおいて手数料は、ばかにならない。
年間3〜4%の利益だとした場合、手数料0.1%と0.6%では大きな差になるので、自分でよく調べてみる。

☆自らの収入と支出を計算し、計画的に投資額を決めるとともに、一定の貯蓄額をキープし、心理的に余裕を持って投資活動をする。


■金融リテラシーの身につけ方

原理原則は覚えましょう。
まず、基本書を読む「ウォール街のランダムウォーカー」「敗者のゲーム」「リスク」がお勧め。
わからない用語も何となく掴んでおくと、そのうち感覚としてわかるようになる。

定点観測も有効。
月曜日の日経新聞朝刊の経済指標を観察してみよう。

スキーや英語の習得と似ていて、経験値が上がるほど、頭で覚えたことが、体に染み付いてくる。
統計的にも、よく勉強をする人ほど儲かっている。

そして実践。
損をして覚える。(損はそのうち取り返せるという気持ちめげない。)

金融の話は後ろめたくないので、どんどん友人と話そう。

☆理論と実践のバランスが大事。積極的に金融の話題に触れることによって、金融に対する感覚を自然なものとする。


■Chabo

(勝間さんが)スーダンに行ってきたときの報告。
誰も金融リスクをとれない(融資をしない)ので、インフラ整備が進まない。
生産性も低いので、物資は輸入に頼らざるを得ず、物価は高い。
隣国のケニアで30円だったものが100円とか。

現地ではNPO法人の方が尽力しているが、給与が安すぎる。
処遇改善も目標。

次回はスリランカに行く予定。

☆前回までのほ報告では、井戸の横に立てられた看板には日本の国旗が描かれていましたが、今回の報告ではChaboのシンボルマークになっていました。
 一人の人(勝間さん)の思いが、着実に現実になっています。
 行動力に感服。


■質疑応答

パパから、「不動産を購入する際に、金融商品を売ってローンの額を減らすべきか、金融商品を残してローンの額を増やすべきか?」と質問をしました。
お二方の回答は、「前提条件がわからないが、金融商品を残してもよいのでは?」というニュアンスでした。
サイン会のときに、「そもそも賃貸のほうがよいですか?」と尋ねたら、お二方とも「Yes」
(リスクに詳しい)金融業会の方々は、賃貸派が圧倒的に多いとのこと。
特に新築はもったいない。
中古ならよいが、目利きがいないので難しい。

結論は、値上がりを期待できない不動産を、高い金利を払って買うより、金融資産として運用したほうが、最終的な資産量が多いと考えられるとのことでしょう。


学びの多い、講演でしたがその中から、本日のパパからのメッセージは、

「理論と実践を重ねて、皮膚感覚を身につけよう!」

です。


これは、金融リテラシーや英語だけではありません。
どんなことでも、理論を理解することと、行動を実践することの積み重ねです。(パパもできていないことが多いです。)

愚直なまでの積み重ねを経て、やがて自分のものとなっていくものです。