その222 運命よそこをどけ!俺が通る!!

「台風が近づいているので、なるべく早く帰宅するように」という勧告が職場で出されました。

と、書き出すと、どんな天候だったのだろうと思うかもしれませんが、湿気が多い以外は、さして雨に当たらずに過ごせました。

朝起きたときは、まさにバケツをひっくり返したような大雨で、近いとはいえ、駅まで行くのにずぶ濡れになってしまうかななどと心配をしていましたが、通勤時間にはちょうど小雨になり、帰りにはすっかり止んでいたので、かえって長い傘が邪魔になるくらいでした。


で、職場の帰宅勧告をよいことに、野口吉昭氏の講演会へ紀伊國屋ホールへ行ってきました。

野口さんについては、1冊だけ(「コンサルタントの「質問力」」)著書を読んだことがありましたが、講演は初めてです。

写真などのイメージから、堅物なイメージを持っていましたが、柔らかく、溌剌とした明るい方でした。

講演会の内容は、「フィッシュ!」の著者スティーヴン・C・ランディン氏の著書「CATS!」を野口氏が監修して出版した記念で、

「CATS!〜キャッツ!ネコに学ぶ組織を変える「9つの教え!」」−組織は現場から変える!

という内容でした。

イントロダクションでは、著書には書かれていない「イノベーション」「パラダイム・シフト」のことを野口氏の視点で紹介していました。


「運命よそこをどけ!俺が通る!!」

何と格好のよい言葉でしょう。

マイケル・ジョーダンの言葉だそうです。

まず前提として、イノベーションは個人で起こすことができるものです。

例として、明治維新の長州ファイブ(伊藤博文井上馨、井上勝、遠藤勤助、山尾庸三)の話がありました。

彼らは、密航して香港経由で英国にわたり、そこで留学をして帰国した後、近代日本の礎を作ったのです。

何物にも揺るがされることのない信念を感じます。


そして、パラダイム・シフト。

コンサルタントっぽい視点で、人口動態、世帯動態、賃金動態などから、現在起こっている、そしてこれから起こるであろう地殻変動を予測していきます。

人口については、現在でもBRICsで47%を占めているそうです。

これが、30年後、40年後にはどうなるか?

世界のGDPの上位は、 中国、インド、アメリカ、ブラジル、ロシア、メキシコ・・と続いて、日本は10番目まで落ちるという予測が出ているようです。

しかも、ロシアがEUに加盟すると、EUという存在自体が1つの大国となり、経済の規模という意味での日本の立場は、ますます苦しくなるでしょう。

日本の内部問題を見ても、団塊団塊Jr.という2つコブを持ついびつな人口ピラミッドは、団塊Jr.Jr.を生み出すことなく、逆三角形に一直線に向かって行きます。

女性一人当たりの子どもを生む数は、1.34人だそうです。

ただ、実は、夫婦における子どもの平均数は、1.8人なので、問題は、結婚をしないということにあるようです。

選挙対策で、出産一時金がいくらだとか、学費の無料化だとかを議論しているけれど、そもそも結婚しないことが問題で、そちらの対策をしないのはMECEでなのです。

将来の日本を思うと、何らかの対策を打たねばなりません。


で、同じ問題でも、切り口を変えると商売に結びつきます。

スーパーなどでは、4人家族をメインに商品開発やディスプレイされていることが多いようですが、実は、単身世帯が31.2%、夫婦2人世帯は20.1%もあるようで、夫婦+子どもの世帯は27.8%に過ぎないとのことです。

つまり、既存の概念に縛られることなく、事実に基づき行動をしれば、そこにビジネスチャンスが生まれるのです。


同じように正当な切り口で見ると、いくつか仮説が立てられます。

年収600万円以上稼いでいる人は、給与所得者のうちの21%に過ぎません。

昨年のリーマンショックで冷え込んだ景気が戻してきたとしても、この格差が急激に埋まることはないでしょう。

■とすると、今流行の格安の居酒屋や中華料理店などは、一時の需要に留まらないでしょう。

■また、過去において、国際会計基準の導入というパラダイムシフトにより、日本にも根付きつつある利益率経営となった企業の経営は、その軸足を市場が縮小する日本から拡大する中国その他の海外へシフトせざるを得ず、そのために、キリンとサントリーに代表されるような、大型合併に進めていく一方、不採算部門の切捨てや、統合による重複の排除により、これからも派遣切りのようなドライな人事システムを続けざるを得ないでしょう。


個人的には、日本の全ての企業が海外進出をするようなことは考えられないと思っているので、残りの企業がどうやって生き抜いていくかが気になります。

そのヒントは、本日の講演会の中に出てきていましたが、長くなりそうなので、今日はここまでとし、野口氏が「CATS!」を語った後半は明日のブログに書きたいと思います。


本日のパパからのメッセージは、

「運命よそこをどけ!俺が通る!!」

です。


自分を信じ、運命を切り開くこと。

イノベーションを起こすには、パラダイム(共有された一連の仮説)を打ち破るほどの情熱が必要なのです。