その352 数値マニアになろう!

自然の力は恐ろしい。

日本海側は一晩で1メートル近く積もるほどの大雪を降らせた低気圧のニュースの結末は、悲しいものであった。

富士山に登っていた片山右京氏のパーティーは遭難して、自力で下山してきた片山氏を除く二人の同行者は、絶望的との報道がある。

個人の能力をいくら磨いたところで、自然に抗うことはできない。

だからこそ、無理をしないで行動をしなければならない。

しかし、この規準は不明確であり、特にある程度の経験を積んだ人にとっては、その境界線がぼやけてくる。

目的を高いところに置くと、少々無理なトレーニングを計画せざるを得ない。

苦行を乗り越えることにより、次のステージに近づくという感覚になるからだ。

では、感覚を抑制するためには何が必要かというと、客観的に判断できる材料になりうる数値である。

数値化されていない規準は、その視線がどこにあるかにより、いとも簡単に変動してしまう。

この曖昧な境界自体は、誰もが持っているものであり、成長の糧になるべきものなので、否定されるべきものではないと思う。

しかし、そこに踏み出す前に、一度、数値に落としてみるべきだ。


ついつい感覚で突き進んでしまうことが多い。

これはビジネスや私生活についても同じである。

なぜ、そのように判断をしたのか、数値化していることは多くない。

直観的に、どちらが得か損かを判断するのは、過去の経験やら、獏とした計算などの結果、瞬時に総合的に判断されるものなので、日常の判断において数値を全く無視しているわけではない。

しかし、もう一歩踏み込んで、目に見える数値を持って判断にあてるべきであると思う。

特に、ビジネスでは、経験年数が長く、声の大きい人の意見が通りがちだ。

もちろん、これまでの実績から見て、それなりに正しい判断をするのであろうが、絶対的でないことは明確だ。

このような人に対抗するには、数字しかない。

いかに精緻な文章であろうと、数字が放つ説得力には敵わない。

人を動かすのは数字である。

ただ、やっかいなことに、「数値化」の作業は、すぐに身につくと言うものではない。

些細なこと、例えば、日々の小遣帳をつけるなど、地道に数字に親しむ作業をし、局面が来たら、その数値を屈指して判断を下すような習慣が必要だ。

思いだけでの企画は決して通ることはなく、理論に裏打ちされた数値こそが、人を動かすものだ。


今回の片山氏のパーティーのニュースは、命のやりとりの境界であったため、後日批判の意見がたくさん出てくるであろう。

起こってしまったことは仕方がないので、その批判の中から、片山氏自身もそうであるし、このニュースに接した我々が、どのような教訓を得るのかが大切である。

普段、命のやり取りをすることのない、我々一般人は、この手のニュースをつい違う世界の出来事として、野次馬的に見るだけで、そこから何かを学ぼうとしないものだ。

その中で、例えば、今回の日本海に大雪を降らせた天気図などから、数値を拾い上げ、異常値としてどこかに記録しておけば、冬山登山とは言わないまでも、どこかで役に立つことがあるかもしれない。

例え直接に役に立たなくとも、数値を気にするというクセをつけるだけでも良しとできるような気がする。

やはり、定量分析はどこかで一度押さえておきたいものだ。


本日のパパからのメッセージは、

「数値マニアになろう!」

です。


そして、パパの「今日のよかった!」は、

「読み終わった本を有効活用できた!」

です。

コレクションとして、本棚に眠らせておくより、誰かの役に立てば本望であろう。