その361 拡大路線の終焉を認識し、縮小路線に方向転換する勇気を持とう!

サンデーモーニング」というテレビ番組の年末スペシャル「世界の行き詰まりと意識の変革」が興味深かった。

http://www.tbs.co.jp/program/sundaysp_20091227.html

最初から見たわけではなく、用事があったため最後まで見ることができなかったが、資本主義の成り立ちから、繰り返すバブル崩壊の歴史など、非常にわかりやすい説明が続いた。

その中で特に共感できたのが、法政大学教授の田中優子さんのコメントである。

正確な言い回しではないが、趣旨としては「拡大からの撤退を決断すべき時である」ということであった。

天下を統一した豊臣秀吉は、自らの成功体験に基づき、戦国時代の拡大路線を踏襲し、その矛先を朝鮮半島に求め、そして失敗をした。

皮肉にも国内を統一したことによって、その成功モデルをどこにも当てはめることができず、やむなく、海外へ向けたのであろう。

環境、文化が異なる朝鮮半島に自国の論理を持っていっても、当然無理があるわけで、案の定失敗し、この戦略の失敗により豊臣家の信頼が損なわれ、関ヶ原、大阪の陣を経て豊臣家自体が滅亡してしまう。

田中氏曰く、徳川の江戸時代が長く続いたのは、この戦国から続く拡大路線から縮小路線へと大きく舵を切ったことにある。

そして、今の時代もまた、この江戸時代のように拡大路線を捨て去るときであると。

全くそのとおりであると思う。

他のコメンテータの方が仰っていたが、物理的に存在するモノを作ることなく金を増やしていくようになったらバブルは弾ける。

実際に、今の日本は物が売れないわけで、その一方、金融商品が溢れて、そこに金が集まっている。

危険な状態だ。

人は保守的であるが故に、最終的には自らの過去の経験から判断を下すことが多い。

と、すると、戦後から続いた右肩上がりの経済しか知らない、我々や親の世代、つまりほとんどの日本人は、この拡大路線を前提にしてでしか判断ができない。

概念的には、人口が減少することもわかるだろうし、中国をはじめとする諸外国の技術成長が著しく、世界で日本ブランドが絶対であるという神話が崩壊していることも知っている。

しかし、その知識を持ってしても、行動が変えられないのだ。

これは、国家も企業も個人もみな同じであるように思う。

「賢者は歴史から学ぶ」

たまたま右肩上がりのスパンに自分の人生がはまっていれば、なんとか自らの経験だけでもうまく人生を乗り切ることができるであろう。

しかし、明らかに潮目が変わった今、何をしなければならないのかを個人レベルできちんと考え、まずは自分が影響を与えられるグループ、家族、職場などに発信して、危機感の共有をはかりたい。

そして、それを企業、国家とじわりと拡大していかないと、これから50年、100年先に生きる我々の祖先が不幸になってしまう。

何かよいアイディアはないものか?

ちょっと、人任せかもしれないが、縮小モデルの成功例が欲しい。

その縮小モデルが、例えば金銭的なもの以外の何らかの価値観を持っており、その価値観に共感する人々が幸福である姿の物語を打ち出せないものか?

なんだか怪しい宗教団体のようであるが、ようは、金銭的幸福一辺倒から別の価値観へ、世界中がシフトしないと、どこかで膨れた風船が弾けてしまうだろう。

個人の過去の経験をも飲み込んでしまうような魅力あるモデルを打ち出さないと、後戻りという選択はされないであろう。

一見楽な道に見えるのは、幻想である。

少なくとも、これまでのように、護送船団方式でみんなが成功を掴むということはないであろう。

パパを含めて、誰もがそのこぼれていく側になる可能性は秘めている。

したがって、社会保障の充実が望まれる。

社会主義とまではいかないが、資本主義の限界であることは間違いない。

拡大路線の終焉を嘆いている暇はない。

次にどの方向に進むべきかを真剣に考え、議論する時期がそこまで迫っているのだ。


本日のパパからのメッセージは、

「拡大路線の終焉を認識し、縮小路線に方向転換する勇気を持とう!」

です。


そして、パパの「今日のよかった!」は、

「物語について考えることができた!」

です。

Why?

→ 創文の稽古、資本主義の課題等を考える時間ができたから。